男性型脱毛症(AGA)

2016年8月14日

私も含め、多くの男性にとって脅威となる男性型脱毛症についてまとめる。

男性型脱毛症とは

英語ではAGA(Androgenetic aplopecia)。
早ければ十代後半から始まり、三十代後半から脱毛が急激に増える。
特徴として、頭皮が脂ぎったり、髭や手足の毛が太くなったり、フケが増えたりすることがある。
普通の男性のヘアサイクルは3-5年だが、栄養不足により3-6カ月で抜けてしまうので短い軟毛しか生えなくなり頭皮が透けて見えるようになってしまう。
最後には毛包自体が委縮して発毛しなくなる。
よく言われる「短い抜け毛が多くなった」というのは、
成長期が短いヘアサイクルを繰り返し(毛包のミニチュア化)、
十分に太い毛幹を形成できなくなり細くて柔らかい毛のまま成長期を終了するということである。

AGAの原因

ジヒドロテストステロン(DHT)の発生

男性ホルモンの一つであるテストステロンに、毛髪の根元から分泌される還元酵素の一種である5-αリダクターゼ(還元酵素)が働くと、強力なホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)に変化する。
なぜこの5-αリダクターゼが働きだすかというと、加齢等により減少したテストステロンをカバーするためと考えられている。
5-αリダクターゼは遺伝的に多く持っている人もいて、これが薄毛が遺伝するといわれる所以である。

DHTによるエネルギー不足

DHTはアンドロゲン受容体(男性ホルモンレセプター)と結合する。
なおこのDHTはテストステロンの10倍ほど強くアンドロゲン受容体と結合する。
このアンドロゲン受容体+DHTの結合体は二つ集まって一つのものとして、毛乳頭細胞の核の部分に移動する。
そこで遺伝情報を担うDNAに結合し、アンドロゲン受容体+DHTは「転写因子」として働く。
これはDNAに結合した付近にある遺伝子の転写を促進することによってその遺伝子のリボ核酸(RAN)が作られ、さらにそのRNAがたんぱく質に作り替えられ、そのたんぱく質が生物学的な作用をするようになる。
結果的に、ペントースリン酸サイクルを狂わせて、代謝調節に重要なアデニールサイクラーゼの活性を低下させ、アデノシン三リン酸(ATP)の産出を少なくする。
これにより毛母細胞が十分な栄養を補給することができず、エネルギー不足から栄養不足の細い毛になっていく。

また、アンドロゲン受容体は、後頭部と側頭部にはほとんど存在しないため、男性型脱毛症では後頭部や側頭部は髪が抜けずに残る。

脱毛因子TGF-β1により抜ける

DHTは毛乳頭のアンドロゲン受容体(男性ホルモンレセプター)とも結合する。
そして、TGF-β1という脱毛を促すシグナルを出すのだ。

男性ホルモンが髭などでは毛の発育を促すシグナルをだすが、前頭部では発育を抑制するシグナルをだす。
思春期に男性ホルモンが増えてくると、髭の毛乳頭細胞からはIGF-1という成長因子が産生される。
このIGF-1も重要なキーワードであるが、これが角化細胞を刺激して髭の成長が促進される。

一方、前頭部では男性ホルモンが増えると毛乳頭細胞からTGF-β1という因子がでる。
これがIGF-1とは逆に角化細胞の増殖を抑制したり、アポトーシス(細胞死)を起こすのである。
実験でマウスにこのTGF-β1を与えると脱毛が起きることが確認されている。

DHTによりIGF-1が減少して抜ける

DHTをマウスに注射すると、毛根のみならず全身の知覚神経の働きを低下させ血液中のIGF-1までも減少させることが実験により分かっている。
IGF-1は上述したように、毛乳頭細胞から産生される毛髪の発育を促進する成長因子である。
詳しくはこちらの記事「IGF-1を増やせば毛が生える」を参照頂きたい。

まとめ

まとめると、ある一定量のテストステロン分泌量までは、たとえアンドロゲン受容体と結びつこうが少量なので毛髪への影響は少ないのだが、
大量のテストステロンが分泌、または5-αリダクターゼの活性によりDHTが産生されると、それだけ多くアンドロゲン受容体と結合してしまい毛髪への影響は大きくなってしまう。
AGAでないのに抜け毛が多いのは栄養が不足しているか毛母細胞まで届いていない可能性が高い。

なぜAGAは前頭部と頭頂部のみで徐々に進行するのか

ここである疑問が起きないだろうか。
なんで頭頂部まはた額から徐々にAGAは進行するのかということである。
逆に額の頭頂部の真ん中だけハゲている人など見たことない。
頭全体で考えれば後頭部と側頭部以外にアンドロゲン受容体があるのだったら一斉に少しずつ薄くなっていくはずである。

前頭部と頭頂部だけハゲる理由

もちろん「アンドロゲン受容体があるから」ということなのだが、何故それがあるのかという疑問が生まれる。
ひとつ、DHTが発生するのはあえて髪を抜けやすくするためという人間の進化に絡んだ説がある。
どういう事かと言うと、毛髪は頭へのショックを和らげるための役割がある。
つまり敵に頭を攻撃されたときに備えるというわけだ。
そして、年を取り、まともに敵と戦っても勝てないような年齢になると髪を不要とする。
髪が伸びすぎると目にかかり、前が見えずらくなる。これは敵を遠方から発見しずらくしてしまう。
よって、髪を無くして遠方を見えやすくし逃げろというわけである。
どうせ戦っても勝てないからだ。
一理あるようにも思える。

徐々にAGAが進行する理由

これは私の知る限りどの本にもサイトにも答えが乗っていない。
よって、私の仮説を述べさせてもらう。

なぜ徐々に活性化するのか。
そう、思いつくのは血流である。
額や頭頂部は特に血流が悪くなりやすい箇所だからなのである。
DHTの影響でただでさえ髪を作るエネルギー不足の上に、血流が悪く栄養が少ないなら猶更に毛母細胞にとって劣悪な環境となってしまう。
これが正しいのなら、根本的解決ではないが血流を促進するマッサージはやはりAGAの場合も依然として有効なのだ。

私の職業はITのシステムエンジニアである。パソコン画面ばかり見ているので眼精疲労が半端ではない。
話を聞くと、やはりこの業界は薄毛の男性が多い。眼精疲労により頭皮の血流が悪くなっているからだ。
これはМ字型を考えても合点がいく。額の右と左ので進行具合が異なるのは何故だろうか。
そう、左が進んでいるのなら左側の血行が特に悪くなっているのだ。おそらく左目を良く使う人なのだろう。
ヒトには利き手ならぬ、利き目があるのは知られている。

フィナステリドやミノキシジルを取っているから安心しないで、さらに血流改善に努めることが早く薄毛状態から脱する秘訣となるのではないだろうか。

5-αリダクターゼには二種類ある

5-αリダクターゼには二種類あり、Ⅰ型とⅡ型が存在する。
・Ⅰ型5-αリダクターゼ・・・前頭部、後頭部、髭、腋毛など、どの場所の毛乳頭細胞にも存在する。
・Ⅱ型5-αリダクターゼ・・・前頭部、髭という男性ホルモンに反応して毛の成長が変化する部位の毛乳頭細胞に特異的に発現する。

今のところⅡ型5-αリダクターゼⅠ型よりも、薄毛の進行に影響力を持っていると言われている。
これは以下を論拠としている。
「Ⅱ型5-αリダクターゼが少ない男性にはAGAがあまり確認されていない」
「Ⅱ型を抑制をした方が症状改善効果がよりよく見られる」

5-αリダクターゼを抑制する成分

Ⅰ型を抑制する成分

・緑茶
・亜鉛
・ノコギリヤシエキス
・デュタステリド(薬剤)

Ⅱ型を抑制する成分

・ノコギリヤシエキス
・フィナステリド(薬剤)
・デュタステリド(薬剤)

デュタステリドを有効成分とする商品としてはザガーロ、アボダートがある。
一方、フィナステリドを有効成分としてはプロペシア、フィンペシアが有名。

AGA対策の育毛・発毛剤

フィナステリド、デュタステリド以外の育毛・発毛剤としては以下のようなものがある。
単に血行促進する成分を主成分とする育毛・発毛剤は私は信じていないが、これらは既に述べたように科学的根拠がしっかりとあるので、一定の効果は期待できると考える。

・リアップ・・・ミノキシジルを含む。ミノキシジルの効果についての詳細はこちらの記事を参照頂きたい。
・薬用アデノゲン・・・アデノシンそのものを含む育毛剤。

・サクセスバイタルチャージ・・・TGF-βの作用を抑制するt-フラバノンを含む。

・薬用毛髪力イノベート・・・毛乳頭から発信される発毛促進シグナル(エフリン、BMP)を増幅し毛母細胞を活性化する。

育毛・発毛サロンについて

結論から言うと、〇ーブ21や〇デランス、〇ートネイチャーといった育毛・発毛サロンの類は私はお勧めしない。
これらは独自の育毛剤やシャンプーを使用したり、マッサージなどの施術を行ったりするのだが、不当に高い料金を請求されることが殆どで、
国民生活センターにも苦情が多数寄せられている。
かくいう私も一時期通っていたことがあるが効果はみられない上に、何十万円も請求された。
今はAGAはきちんとした知識があればこれらに頼らずとも症状を改善もしくは完治できると考える。
なにしろ実際に私は回復した。

男性型脱毛症の頭皮に於ける皮脂産生の比較

1968年にアメリカの名バックは男性型脱毛症になっている男性とそうでない男性それぞれ11名の頭皮から
皮脂を吸い取り、その皮脂量の差を測定している。
結果、皮脂量に統計学的に有意な差は見られていない。

よって、男性型脱毛症の男性は皮脂量が多いという説は否定されている。

男性型脱毛症と頭皮の硬さの関係

よく言われるが、頭皮が硬いから薄毛になるというのはあまり関連がない。
というのは、そもそも頭皮に硬いも柔らかいもないのだ。
厳密には男性型脱毛症がすすめば若干皮膚の一部が線維化して硬くなるが、頭皮を指で触っただけでこの違いは判らない。
問題なのは頭皮ではなくその下の筋肉が硬くなっているのだ。
筋肉が硬くなり血行が悪くなって結果的に栄養不足で毛髪に影響が出ると考える。