人体について学ぶ

からだは4つの組織で出来ている

人体を構成する細胞は約200種類もある。
このうち、同じタイプの細胞がたくさん集まって組織を作っている。組織には以下の4種類ある。

上皮組織

皮膚や消化管の粘膜など人体の外部と内部を分ける細胞層のこと。
皮膚は硬い角質の細胞で、これによって外界から人体を守っている。
粘膜は消化管の表面を被い、栄養素を吸収する。

結合組織

全身をまとめている糊のようなものである。
皮膚の下にあって血管を結合させたり、肝臓や筋肉のような組織で細胞と細胞を結びつけている。
結合組織を形成している主な成分は、コラーゲンというたんぱく質である。
このコラーゲンは結合組織の特殊な細胞である繊維芽細胞で合成されている。

筋肉組織

意思によって動かすことの出来る随意筋と、動かせない不随意筋がある。

神経組織

感覚器官から情報を取り入れ、情報を筋肉細胞に伝えて運動をコントロールし情報を統合して思考や判断をする。
神経組織の中心となって働くのは神経細胞である。

細胞には寿命がある

細胞を培養すると、細胞は成長してやがて分裂を繰り返す。
だが、細胞はいつまでも成長・増殖をするわけではなく、60-80回分裂した後に死んでいく。
細胞は分裂した回数を数えているのだ。
このような実験がある、ある細胞を30回分裂させた後、マイナス80度に冷却し細胞分裂を中断させた。
その数年後、37度にゆっくり戻すと脂肪は分裂を再開したが30-50回で分裂を停止し死んでいる。
この細胞分裂の限界を決める要因ははっきりとは分かっていないが、候補として注目されているのがテロメアである。
テロメアとは、塩基配列(TTAGGG)を1単位として2000回繰り返した構造をしている。
細胞分裂のたびにテロメアが少しずつ短くなる。そして特定の長さ以下になると細胞分裂を停止し細胞死するのだ。
実はこのテロメアを延ばすことができる酵素があり、テロメラーゼという。
心臓、肺、肝臓などの普通の体細胞には存在しないが、精子や卵子といった生殖細胞やがん細胞に存在する。

酵素とは

化学反応を猛スピードで進める魔術師が触媒である。
体内での化学反応における触媒が酵素であり、通常の100万倍から1兆倍もスピード速める。
1個の細胞内には約4000種類もの酵素があり、それぞれ担当する化学反応を実行する。
各々の酵素が働く相手(基質)がキチンと決まっていて特定の酵素は特定の分子にのみ作用するのだ。

化学反応を開始するのに必要なエネルギーのことを活性化エネルギーという。
例えれば、山頂の溝に置かれた石があるとして、この石は溝から押し出されると容易く転げ落ちる。
この石を溝から押し出すのに必要なエネルギーが活性化エネルギーである。

酵素は活性化エネルギーの山を下げる。
酵素の表面には凹んだ箇所があり、これが基質を捉える活性部位である。
酵素が基質とぶつかったときに基質がこの凹んだ箇所にピッタリとおさまる。
こうしてドッキングした複合体をES複合体という。ES複合体では基質が無理な姿勢を強いられるため、曲がったり伸びたり歪みが生じ、
結合が非常に切断されやすくなっている。よって、化学反応しやすくなる(活性化エネルギーの山を下げる)のだ。

ある種の酵素が働くには、酵素本体であるタンパク質成分の他に非タンパク質成分の補因子が要求される。
補因子を必要とするタイプの酵素において、タンパク質成分をアポ酵素という。
アポ酵素はそれ自体では酵素として不活性だが、補因子と結合することにより活性化し、この結合したものをホロ酵素と呼ぶ。
補因子には有機物と無機物の二種類がある。
有機物は補酵素、無機物は金属イオンである。
補酵素はビタミンから作られる。よってビタミンなしでヒトは生きられない。
また代表的な補因子の金属イオンは亜鉛や鉄、銅などがある。

活性酸素

酸素が有毒になることがある。
この有毒な酸素のことを活性酸素と呼んでいる。
活性酸素には、スーパーオキシドと、フリーラジカルがある。

スーパーオキシド・・・紫外線やX線など電磁波が酸素に照射されてスーパーオキシドになる。
フリーラジカル・・・スーパーオキシドが人体の水に溶けてできたものである。

この活性酸素の酸化力は極めて強く、生体のタンパク質やDNAと化学反応してダメージを与える。
DNAにダメージが発生すればガン発生の引き金となるし、老化の原因となる。

活性酸素の発生元は、電磁波、空気汚染、喫煙が良く知られているが、生体を防御する免疫システムやミトコンドリアでも大量に発生している。

抗酸化物質が活性酸素を分解する

抗酸化物質によって活性酸素を除去することができる。
抗酸化物質とは活性酸素に電子を与えることで、活性酸素が生体物質から電子を盗むのを防ぐ物質のことを言う。
抗酸化物質は自ら犠牲になることで、DNAやタンパク質などの生体物質が酸化されるのを防ぐのである。
抗酸化物質には以下のようなものがある。

・リコペン
トマトや鮭に豊富に含まれる色素。リコペンの抗酸化作用はβ-カロチンの約10倍であり、動物やヒトでの実験でも抗癌作用が確認されている。

・フラボノイド
カテキンやアントシアニンがあり、ビタミンCやEよりも高い抗酸化作用がある。
カテキンはお茶に、アントシアニンはブドウの皮に大量に含まれる。

・SOD(スーパーオキシド・ディスミューターゼ)
SODはスーパーオキシドを過酸化水素水と酸素に分解する。
そして過酸化水素水はカタラーゼによって酸素と水に分解される。
SODの活性には銅が必要であり、カタラーゼの働きには鉄が要求される。

・ビタミンE
血清中のビタミンE濃度が低くなると肺癌や結腸癌、胃癌、乳癌などの発生が高まる。

興奮が細胞を伝わることが生命現象

細胞では幕の外側に対して内側がマイナスに荷電している。
これを静止膜電位という。
これは神経細胞や筋細胞でみられる。
静止膜電位は細胞の種類によるが約50-100ミリボルトの範囲である。生きている細胞は電気を帯びているのだ。

どのようにして細胞に興奮が起こるのか

興奮していない状態では細胞膜の内側は-70ミリボルトになっているが、
外側からの刺激が加わると、膜にあるナトリウムイオン用の穴が開き、内側に入ってくる。
よって、膜の内側の電位は上昇する(脱分極)。
そして内側は約+40ミリボルトに達する、これが細胞の興奮である。
そして今しがた電気が流れた箇所のすぐ隣の穴が開く。
こうして再びナトリウムイオンが細胞膜の内側に入ることで興奮は伝達する。
なお、時間が経つと膜に空いた穴は閉じて内側は元のマイナスにもどる(再分極)。

興奮の伝達が神経細胞に起これば、思考、判断などの心が発生し、
筋細胞に起これば、運動となって現れる。
つまり生命現象の根幹は興奮がドミノ倒しの如く伝わることにある。

なお、神経細胞と神経細胞の間にはシナプスと呼ばれる隙間がある。
しかし電気シグナルはこの隙間を通過することができない。
そこでシナプスまで伝わった電気シグナルは化学シグナルである神経伝達物質に姿を変えて隙間を超えて次の神経細胞に情報を伝える。