ATP(アデノシン3リン酸)について学ぶ

2016年8月13日

ATPは体内で必要なエネルギーを供給する際の通貨として利用されていて、生物が生きるのに必須である。
ATPについて学ぶことは健康を考える上でほぼ必須であると考える。
なぜなら、食べ物を摂取する際や、運動をする際に知っているといないとではその内容に違いを産むからである。

ATPの構造

ATPの分子の中にはアデニン、リボース、リン酸という3つの部品がある。

アデニンはDNAやRNAなど核酸の成分にもなっている塩基だ。
リボースは互角系の糖である。
リン酸は、炭酸飲料に含まれている1個のリン酸から出来ている1リン酸ではなくATPのリン酸はリン酸が3つ繋がった3リン酸である。

ATPの使い道

ATPの使い道で主なものは以下の3つがある。

機械的な仕事

身体を動かすときに必要な筋肉の収縮である。
例えば指や腕を動かす時、目、鼻、口を動かす時など。
また、細胞分裂する際にも細胞は動くがこの時にも使われる。

科学的な仕事

小さな分子から大きな分子を作る同化である。
同化が起こるのにエネルギーの注入が必要だ。
例えばグルコースが沢山つながってグリコーゲンができる。

輸送の仕事

細胞膜の内外の濃度勾配に逆らってある特定の物質を移送させることを能動輸送という。
能動輸送は不自然なものである。
水が高い所から低い所へ移動する如く、普通、物質は濃度の高い所から低い所へ移動する。
例えば、ビーカーの3分の1に砂糖水を入れて置き、これに水を加えて一定時間放置すると、砂糖が溶液中に均一に散らばっている、これを受動輸送という。
この自然な受動輸送に逆らう仕事が能動輸送なのである。

能動輸送の例を挙げると、細胞内外でのナトリウムイオンとカリウムイオンの濃度の差がある。
細胞膜には所々小さな穴が開いており、この穴より小さな分子やイオンは自由に通り抜けられるはずであるから
これらの濃度は内外で同じとなるはずなのだが、能動輸送のお陰で、細胞の外側にナトリウムイオンが多く(約20倍)、内側にカリウムイオンが多い(約35倍)。
細胞膜には特別なタンパク質でできたポンプが埋まっており、特定のイオンを細胞の内外で運搬しているのだが、このポンプを動かすエネルギーがATPなのである。

ATPが産まれるまで

三大栄養素である糖類、タンパク質、脂質それぞれからATPは作られる。
ここでは糖類からATPが作られるまでを見ていく。

酸素を利用して栄養素から最大の効率でATPを獲得する仕組みを呼吸代謝という。
呼吸代謝は、解糖系、TCA回路、電子伝達系の三つのシステムから成り立っている。

ATPを獲得するには酸素を必要とする呼吸代謝と、酸素を必要としない発酵の二通りある。

糖類から作られたグルコースはミトコンドリアの外で無酸素状態で代謝を受けてピルビン酸という乳酸によく似た物質ができる。
ピルビン酸は、無酸素状態でエタノールや乳酸に変換される。これが人体での発酵である。
しかし、人体に酸素が豊富に存在すれば発酵は起こらない。

次にピルビン酸はミトコンドリア内でTCA回路(別名クレブス回路、クエン酸回路)に入り、酢酸の単位であるアセチル基と補酵素AがくっついてアセチルCoAができる。
アセチルCoAはタンパク質からも脂質からも産生される。

このアセチルCoAはTCA回路を回るうちにゆっくり酸化され、二酸化炭素と多くの電子が生まれる。
多くの電子は電子伝達系という電子をバケツリレーする部門(ミトコンドリア内)に入る。
そしてリレーされるうちに水と共に高エネルギー物質であるATPが作られる。

ATPの産生方法に二つあるわけ

同じ量のグルコースでも呼吸代謝の方が発酵だけよりも約19倍もATPを生産できる。
このように酸素を活用して栄養素を酸化させてエネルギーを得た方が圧倒的に効率は良いのだが、いつも酸素を利用できるわけではない。
例えば、激しい運動の際には筋肉への血液による酸素供給が間に合わない(無酸素運動)。
よって、解糖系だけを使ってATPを産生し筋肉を動かしている。
そして乳酸が血液に蓄積する。だから乳酸が疲労物質と呼ばれるし、蓄積した乳酸は筋肉痛のもととなる。

筋肉は解糖系だけで生産するATPでなんとかやっていけるが、脳はとても無理だ。
なぜなら脳がそれほど大量のエネルギーを必要とするからである。
脳には約1000億もの神経細胞が詰まっている。
神経細胞の働きは細胞膜の内外の電位差を利用しており、これは能動輸送による。
そしてこの能動輸送はATPを大量に消費する必要があるのだ。
だから酸素がない状態では脳は大きなダメージを受けるのである。