尿酸値を下げる

尿酸とは

尿酸はプリン体というものから作られている。
プリン体は細胞核にある核酸を構成する物質だ。
口にする食品も細胞から出来ているため、当然プリン体が含まれている。
しかし、食品として取り込まれるプリン体は体内の2-3割に過ぎず、残りは体内で作られている。

プリン体が体内で作られる仕組みは2つある。
1つは、核酸の分解によるもの。
核酸は遺伝情報を伝える大切な物質だが、細胞が定期的に新しい物に生まれ変わる時に分解され、プリン体をつくる。

もう1つは、エネルギー消費によるものである。
エネルギー源であるATPはエネルギーを産むときに ADPにある。
安静時にはもとのATPに戻るが激しい運動など大量のATPを消費すると増えたADPはATPに戻れずに分解されプリン体となる。
※ATPについて、詳しくはこちらの記事「ATP(アデノシン3リン酸)について学ぶ」を参照願いたい。

健康な人の体内では1日に約700㎎の尿酸が作られ尿酸プールとして蓄えられる。
尿酸プールでは約1200㎎の尿酸が保たれて約700㎎の尿酸が排泄されている。
尿酸は水に溶けにくく結晶化しやすいため、結石などができないように腎臓は少しずつしか尿酸を排泄させない。
排泄される尿酸の約7割が尿中に、残り3割が汗や便とともに排泄される。

尿酸値は血液中の尿酸の濃度のことで、血液1dl中に含まれる尿酸の重量mgで示す。
尿酸値は尿酸プールのバランスに影響され、7.0㎎/dlを超えると高尿酸血症と診断される。

高尿酸血症には尿酸プールのバランスによって3つのタイプに分かれる。
・尿酸産生過剰型・・・産生される尿酸の量が多すぎるタイプ。体質や生活環境が影響する。
・尿酸排泄低下型・・・排泄される尿酸の量が少なすぎるタイプ。日本人に多く、腎臓からの排泄量の低下が影響。
・混合型・・・量産の産生量が多く、しかも排泄量が少ないタイプ。

ちなみに女性の場合、女性ホルモンであるエストロゲンにより尿酸の排泄が促されるため高尿酸血症にはなりにくいとされている。

尿酸値が高くなるとどうなるか

高尿酸血症では、尿酸塩という尿酸の結晶が関節内に溜まっていく。
この状態が長く続くと、痛風関節炎や痛風結節といった、所謂痛風を発症することがある。
何の前触れもなく突然起こる事が多い。

また、尿酸塩結晶が関節部分にかなり溜まっている状態でも、痛風の発作や症状が全くでないケースがあり、これを無症候性高尿酸血症と呼ばれる。

痛風発作の症状と対処法

痛風の主症状は激痛で、初めて痛風発作に襲われたときはパニックに陥るほどである。

痛風発作の多くは下肢に起こり、特に足の親指の付け根の関節部分によく見られる。
痛む部分は一か所で、発作が起こると、ついマッサージをしたくなるがこれは症状を悪化させるだけである。
痛みを和らげるためには、患部を心臓より高い位置にして冷やし、安静にするのが良い。
市販の鎮痛薬を服用するのも有効であるが、アスピリンは症状を逆に悪化させるため避ける必要がある。

痛風発作の経過

1.夜中から明け方・・・足の親指の付け根などに激しい痛みを感じる。
2.2-3時間後・・・痛みはピークに達し、炎症部分は赤くはれ、熱を帯びる。
3.24時間・・・痛みのピークが続く。
4.数日間・・・痛みが続くが、少しずつやわらいでいく。
5.1-2週間・・・痛みがすっかり消える。

痛風と思ったらすぐ受診する

痛風の診断には尿酸塩結晶の存在を確認する必要があるが、これは炎症が起きている時しか採取出来ないため、診断を確実にするためにも痛みがある内に受診すべきである。
診察は問診を経て、血液検査やレントゲン検査、超音波検査などが行われる。

問診でよく聞かれること

・痛みや全体的に不調があるか
・痛風発作の起こった日時、部位、回数
・発作を起こす前の自覚症状
・痛風以外にどんな症状があるか
・家族に痛風や糖尿病歴があるか
・使っている薬
・生活習慣(飲酒、運動の有無、食事内容)

痛風の治療

痛風発作の前兆があった場合は、コルヒチンという薬を服用して白血球の働きを抑える。
すでに発作が始まっていたら、非ステロイド抗炎症薬を服用して炎症と痛みを和らげる。
非ステロイド系の抗炎症薬で痛みが治まらないときは、ステロイド薬を併用する。
場合によっては、ステロイド薬の関節内注射や点滴が行われることもある。

痛風の痛みが完全に治まったら本格的に高尿酸血症の治療を始める。

高尿酸血症の合併症

腎障害

腎臓は血液中の老廃物の排泄だけではなく、必要な成分の再吸収や体内の水分量の調節など重要な働きをしている。
尿酸のろ過や、再吸収も腎臓は行っているが、尿酸値が高いと腎臓への負担が大きくなり、処理しきれなくなった尿酸は結晶化して腎臓組織に沈着して腎機能を低下させる。
腎障害が進行すると腎不全となり、人工透析が必要になることもある。

尿路結石

尿中に排泄される尿酸が多くなると、尿酸や他の成分が結晶を作ってしまい結石をつくる。
これが尿路にできるのが尿路結石である。
結石の多くは腎臓でできて尿路を流れていくが、途中で詰まると激痛を起こす。

高尿酸血症の薬物療法

初めて痛風発作を起こした場合、発作が落ち着いたら尿酸値を下げる薬(尿酸降下薬)の服用を始める。
痛風発作の原因となる関節内の結晶を直接取り除く薬はないため、尿酸降下薬で結晶を溶かしていく。

尿酸降下薬には、尿酸排泄促進薬と、尿酸生成抑制薬の二種類があり、尿酸クリアランス検査によりタイプにあったものが処方される。
こうした治療は長期間に及ぶ。尿酸値を6.0㎎/dl以下に下げ、尿酸塩結晶を溶かすために長い時間がかかるのである。

高尿酸血症の治療のポイント

高プリン体食品に注意する

プリン体は細胞の核を構成する成分なので、ほぼすべての食品に含まれているが、特に細胞数の多いものや細胞分裂の盛んな部分に多く存在しており、旨味成分を多く含有しているので、美味しい食品に多く存在している。
なお、100gあたりに200㎎以上のプリン体を含むものを高プリン体食品と呼び、動物の内臓、魚の干物がこれにあたる。

尿酸の排泄を促す食品を摂る

尿酸はアルカリ性の液体に溶けやすい性質があるため、尿をアルカリ側に傾けると排泄がスムーズになる。
尿をアルカリ性にする働きのある食品は、海藻や野菜、きのこ等がある。

尿の量を増やして尿酸の排泄を促す

尿酸の約7割は尿から排泄されるため、尿量が少ないと尿酸値が高くなる。
よって、たっぷり水分をとり、尿酸の排泄を促すことが大切であり、1日に2リットルの水を飲むことが推奨される。

ビールがNGではなくアルコール自体がNG

よくビールをやめて焼酎にすれば問題がないように言われるが、これは間違いである。
アルコール自体に尿酸値を高める作用があるのだ。
アルコールには腸管でのプリン体の吸収を増加する働きや、尿酸が肝臓で作られるのを促進する働きがある。
それだけでなく、腎臓からの尿酸排泄を抑制する作用もあるため、非常に尿酸値を上げやすいのである。

尿酸値を下げる作用が期待できるサプリメント

・尿酸の排泄作用が期待できるもの・・・ビタミンC、キトサン、フコイダン
・尿酸の産生抑制作用が期待できるもの・・・葉酸
・両方の作用が期待できるもの・・・アンセリン

運動で尿酸値を下げる

肥満により尿酸値産生過剰、もしくは尿酸排泄低下を招くと考えられている。
脂質は細胞膜やホルモンを構成する重要な栄養素だが、摂りすぎると尿酸値を上昇させるのである。
よって、肥満を解消するために運動することが効果的である。
ただし推奨されるのは有酸素運動であり、あまり激しい運動(無酸素運動)は逆に尿酸値を上げてしまうので注意が必要だ。